プロテオームデータの信頼性保証
測定データの品質管理
非標識LC-MS/MSは、比較に供するサンプルの数に制限がないため、多数検体の統計解析を必須とする臨床研究に適しています。その一方、連続測定内でイオンシグナルを安定的に検出することは容易ではありません。当社では、標準ペプチド混合物の測定によって測定データの品質を管理しています。
当社で最適化したLC-MS/MSの測定バッチを模式的に示しました(上図)。「測定バッチ(Measurement batch)」とは、複数の試料をあらかじめ設定した順序にしたがって連続して測定する場合の測定全体を指します。当社では、最大20の実試料測定を一つの測定バッチに組み入れ、かつ測定順をランダム化しています。測定バッチの最初の3測定は標準ペプチド混合物で構成し、測定系の安定化を図ります。続く実試料の連続測定では、その前後と真ん中に同じ標準ペプチド混合物の測定を挿入します。この測定を「品質管理(quality control, QC)」測定と呼んでいます。
挿入した3測定におけるペプチド検出強度の相対標準偏差(relative standard deviation, RSD)が一定の範囲内に収まっている測定バッチを、QCの基準を満たした連続測定とみなします。そして、この測定バッチに含まれる実試料の測定データのみを、以降の比較解析のためのデータ処理に供します(ソフトウェア開発)。
試料・データの管理
当社は現在までに数多くの臨床試験に参加しており、分析試料とデータについても厳密な管理基準を整備しています。